好い音=環境
今更ながらなのですが、少し前からアナログLPを聴き始めています。
きっかけは、某大手リサイクルショップチェーンで数千円という驚くほど安い価格で売りに出されていたレコードプレーヤーとの出会いでした。
僕は1979年生まれなのですが、自分で音楽を聴き始めた頃には、既にCDとカセットテープが主流になっていた世代です。途中にMDが(僕はまったく好きになれませんでしたが・・・)ありますが、その後データ圧縮の技術がさらに進み、音楽をネット上からデータでのかたちで手に入れて聴くこと(僕はまったく好きになれそうにありませんが・・・)が可能になった今があります。
そんな中、幼い頃にわずかに聴いた経験があるような/ないような・・・ほとんど記憶として残っていないように思えたレコードの音。
データとしての音楽が、安く手軽に大量に手に入るような状況が整っても、僕自身は、久しくその音質自体に退屈していたので(それが祟って、音楽を聴く時間自体が、個人的には減っていたような気がします・・・)、遅まきながらLPの音を自分の工房で鳴らしてみた瞬間、しばらく忘れていたような「音そのもの」がもっている快感を味わえた気がしたのでした。
その、無理のない自然な音にビビッときたわけです(ホント今更ですみません)。それからというもの、もちろんCDを聴くことはありますが、レコードを回しながら作業することが格段に増えました。
写真でも見ていただけますように、正直、レコードって場所も手間も掛かります。でも、間違いなく、一枚のレコードが回っている間、以前に増して大事に音を聴くようになりました(何せLP再生時間短いし、刻々と劣化するメディアだし・・・圧倒的非効率なものに支えられて実現する音なんです)。
環境を変えると、耳も、好みも、時間の流れも変わるようだなと感じます。そもそも、工房にレコードを置いてみようと思ったこと事態がかなりの思いつきでして、プレーヤーを運よく手に入れたもののまともなLP盤自体をほとんど持っていませんでした。
ただ、不思議なものでプレーヤーを工房に置くと程なくして、来訪者さまから「君、レコード聴くのか?うちにこういうのあるんだけど聴く?」という話をいただき、お譲りいただいたのがコレ。
「モーツァルト大全集/フィリップス・中央公論社」
レコード経験の最初の段階で、こんな貴重な音源(半数以上が未開封!)にあたれて、幸運以外の何者でもないと思っています。これだけあれば、当分永く楽しめます。
そんな出来事もあり、環境をどう設定するかによって、人との出会いのかたちも大きく変わってしまうのだなと日々感じます。その点において、偶然も必然もあまり差を感じないというか・・・。
この度の、関西弦楽器製作者協会への入会も、自分とって大きな変化だと思っています。展示会等でたくさんの方とお会いできるのを楽しみにしております。新参者ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
次回は1月20日更新予定です。