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ニスの話

第311回 三原 博志(2025.2.20)

次回展示会に出品予定のバイオリンがニスの仕上げの段階ですので、ニスの話を少々。

今回の楽器はアルコールニスで、ピカピカの新作仕上げです。

ひとことでアルコールニスと言っても下地の処理方法から表面の仕上げ方までいろいろな手法があります。

どのような仕上がりにするかを考えたうえで、それに適した手法を選ばないといけません。

今回の楽器ですと、透明感のある艶やかな仕上げなので、それに適した手法を採用しています。

木地は、表板の春材が浮き出ないように目止めとサンディングを数回行い、ウォーターステインで色付けします。

透明ニスを5回程度塗ると、光沢がでてくるのと、刷毛ムラも出てきます。

そして、オイルを用いて400~600番程度でサンディングをします。このサンディングが重要で、後の仕上がりにとても影響しますので、かなり丁寧におこないます。

白木の時にはわからなかった凸凹や、傷もこの時点で修正。木地まで削った箇所は再度ニスを塗ります。

そして、色ニスの工程。

色ニスを塗ります。少し濃いかなと思うところまで、10回程度塗ります。刷毛目が目立ってきますが無視して、色の薄いところ(ニスの薄い箇所)をリタッチしていきます。

リタッチが出来たら、表面の刷毛目やニスの凸凹を取り除くサンディングを行いますが、そのまま磨くと色むらだらけになりますので、磨く前に透明ニスを
1~2回塗ります。

この段階での磨きはオイル研ぎだと600~800番程度、水研ぎだと800~1500番で表面を平滑にします。

磨いて色ムラができた場合はリタッチして透明ニスを塗ってまた磨きます。

そして、仕上げに透明ニスを2~3回程度塗ります。


ニス塗り途中(仕上げ間近)

充分に乾燥したのちに2000~3000番で水研ぎをし、アルコールで薄めたニスを慎重に塗ったらツヤツヤになります。

ざっくりですが、このような工程でニスを仕上げていきます。

アルコールニスは塗る回数が多く、塗るたびに乾燥時間が必要な関係で、とても時間を費やします。