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誇らないのが誇り

第120回 篠崎 渡(2016.06.05)

少し埼玉の話をしよう、バイオリンのことはさておいて。

みなさんは埼玉県のことはどれくらいご存知であろうか?西日本の方には関都府県の地理的理解が大雑把な方が多いようなのですが、埼玉県は「亀の形の東京都」と「鶴の形の群馬県」に挟まれた「芋の形」をしています。

どんなところ?名物、名産って何?観光スポットはどこ?って聞かれると埼玉県民ははなはだ困ってしまいます。

情報提供者は「わたるさん」とありますがわたしではありません。情報提供者は「わたるさん」とありますがわたしではありません。

なぜなら、京都とか、奈良のように誰でも知っているような歴史的なイメージがあるわけでなく、大阪や名古屋のように立派なお城とか言葉でも大阪弁とか名古屋弁とかの地域性がないので一般の方にすぐにイメージしてもらえるような自慢ができないからです。そんな地味な埼玉ですがどんなところ?ときかれたらすごくカジュアルには(自虐的ですが…)こんなイメージの説明が理解してもらいやすいかもしれません。

この漫画出たあとに新宿に「埼玉領事館」というものを作ってしまった埼玉県はやっぱり「東京都植民地」を認識しているとしか思えない。この漫画出たあとに新宿に「埼玉領事館」というものを作ってしまった埼玉県はやっぱり「東京都植民地」を認識しているとしか思えない。

快くないのに「暑すぎる」ことが自慢してしまったり(熊谷市)、ヘタで自己満足的ものを見せたがったり(元旦にテレビ埼玉で放送される埼玉政財界人チャリティ歌謡祭とか)、埼玉県(民)は自虐的でイジられ慣れています(まるで、びよら弾きのように・・・)。33年ぶりに復刊された、幻の埼玉dis漫画「翔んで埼玉」は55万部を超えてしまったそうです。現在県内のメジャーなコンビニには必ず置いてあります。主に埼玉県民が買っているんだろうなぁ…。

埼玉県が認識されるものはハイカルチャーなものよりサブカルチャーなものほうが最近は多いようです。観光スポットはアニメ/漫画の「聖地」だったり、銘菓といえば伝統ある「十万石饅頭」、「五家宝」、「彩果(さいか)の宝石」より「ガリガリ君」の方が全国的に知名度が高いように思います。

ときがわ町の温泉スタンド。給油所でなく給湯所。ときがわ町の温泉スタンド。給油所でなく給湯所。

そんな埼玉ですが地味に良いもの、通の方、マニアな方が関心を寄せるものは沢山あります。普通にある山林、雑木林(トトロの森!)、中世関東の山城の跡だったり(残念ながらいまは城郭が残っていない鉢形城とか)、東京から日帰りできる温泉(温泉水20Lを50円で買える給湯所がある!)だったりです。

我々にとっては普通にあるものなので、自慢するほどのものではない、という認識です。わかる奴だけわかればいい、というスタンスを「あまちゃん」で言われる前に声に出さず抱いています。私はあえて言おう、誇らないのが誇り、な県民性であると!

そんな弦楽器職人でありたいと埼玉の中途半端な田舎で仕事をしながら私も思っています。

 

次回は6月20日更新予定です。