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西日暮里

第94回 河村 盛介(2015.05.05)

現在の西日暮里に工房を移転してから、間もなく一年半が経とうとしています。
これまで沢山の方々に助けられ、なんとかここまでたどり着くことができました。とても感謝しています。

ところで、皆さんは西日暮里という町をご存知でしょうか。
西日暮里は東京都荒川区にあり、JRと地下鉄の乗り換えでよく利用されます。しかし、駅周辺はオフィスなどよりも住宅が多いため、住んでいる人でなければなかなか駅から出る機会は少ないのではないでしょうか。私もここに工房を構えるまでは、電車の乗り換えで利用するばかりでほとんど町を歩いたことはありませんでした。

工房の目の前には道灌山通りが走っていますが、地図を見ても西日暮里周辺に道灌山という名前の「山」はありません。上野から王子の飛鳥山まで高台が続いていますが、どうやら西日暮里駅を出て西側すぐ、道灌山通り北側の開成学園のあるあたりが道灌山のようです。通りを挟んだ向かいの高台は上野まで途切れることなく続いていて、このあたり一帯は江戸から明治にかけて「ひぐらしの里」と呼ばれ、虫聴きの名所だったそうです。
西日暮里駅すぐ脇の坂道から高台に上ってみると思ったよりも高く、西日暮里公園からは駅がよく見渡せます。

西日暮里公園から線路と平行して日暮里まで走る諏訪台通り沿いには、神社やお寺が並んでいてとても静かです。西日暮里公園から一番近いところには、元久2年(1202年)に創建されたとされる諏方神社があります。境内はかなり広く、鳥居をくぐると沢山の木々が生い茂っています。とても山手線のすぐそばとは思えないのんびりとした雰囲気が漂っていて、ここに座ってボーっとしていると時間が経つのを忘れてしまいます。
さらにここから、浄光寺、養福寺、経王寺と並び、寄り道をしなければ10分ちょっとで日暮里駅に到着します。

日暮里から上野方面には谷中墓地が広がっていて、日暮里から「夕やけだんだん」という階段を下りると谷中銀座商店街を通って、千駄木、根津に抜けることができます。この谷中、千駄木、根津周辺一帯は「谷根千」と呼ばれていて、テレビや雑誌によく取り上げられています。小さなお店やお寺が沢山あって、天気の良い日には町を散策する観光客でとてもにぎわっています。

西日暮里は上野から電車で約6分、池袋から電車で約10分ととても交通の便がよいところにありますので、お近くにお越しの際にはぜひ一度、西日暮里近辺を散策してみてはいかがでしょうか?

次回は5月20日更新予定です。