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ペルナンブーコについて

第312回 三枝 佳世(2025.3.05)

20245月に行われた関西弦楽器製作者協会展示会に初めて参加しました。

多くの方にお立ち寄りいただき、弓についてお話をさせていただきました。

そのなかで多くの方が弓の材料について興味を持たれているという印象をもちました。

プルナンブーコ材が伐採、輸出入の規制の対象になっていることは既に知られておりますが、それ以外にお話しさせていただいたペルナンブーコにまつわる話を今回は紹介いたします。
尚、ペルナンブーコの歴史については諸説あります。

 

・列車の線路の枕木として使用されていた。

とても重たく、硬く耐久性に優れている為、昔は列車のレールの枕木として使用されていたそうです。知合いのアメリカ人弓製作者は昔の枕木からスティックを切り出して製作している、という話を聞いたことがあります。かなり時間も経っているので乾燥していて、長さも十分ある為、弓にも適しているそうです。

 

・ペルナンブーコは船のバランスをとる材として船に積まれた。

南米からヨーロッパに渡る船において、積み荷とのバランスを調整する為に用いられヨーロッパに渡ったと言われています。そして、ヨーロッパに渡ったペルナンブーコは染料として用いられるようになった。

染色の材料として使用されていたことは広く知られていると思います。

原木は明るい茶色から濃い茶色まで様々ですがカンナでスティックを削った鉋屑(削った鰹節のような状態)に水を垂らすと水は明るいピンクに変色します。ペルナンブーコを削った後、手を洗うと石鹸の泡や水がピンクになります。

 

鉋屑に水を垂らした状態

 

 

紫色の染料として使われていたと言われますが、単純に水だけだと紫というよりピンク~オレンジに近い色になります。

そして染める際、媒染という染料を繊維に定着させる工程で使用する媒染剤の金属の種類によって最終的に染まる色が変化します。下記の色見本は染色家の方がいくつかの金属を試したものです。この方によると、明るいピンクは自然の物だけで出る色としては珍しい色だそうです。

上から媒染なし、錫、アルミ、銅、鉄

鉋屑