クレモナ
第301回 三宅 広 (2024.09.20)
今年はトリエンナーレの年でしたので、久しぶりにクレモナに来ました。
トリエンナーレには何度か参加していましたが、前回はコロナ騒ぎで来られなかったので6年ぶりのクレモナです。
駅に降り立って見る街の様子は前とほとんど変わっていないように見えますが、街中に入っていくとと前にあったお店が違うものを売る店になっていたり、レストランだったところがケーキ屋さんになっていたりと、時の流れを感じるところもあります。
以前によく行っていたお店の人が覚えていてくれて「また来たんだね、元気だった?」と声をかけてもらったりするとこの街の人たちの温かさに触れられたようで懐かしい気持ちになります。
コンクールの提出は締め切りの8日ギリギリに行きました。
受け付けを待って並んでいると、知っている顔も何人か見えて、普段日本にいてもなかなか会うことのない人とここで出会えるのを不思議に感じながら挨拶を交わしていました。
幸い、以前住んだことのあるアパートの同じ部屋を今回も借りられたので、しばらく滞在してクレモナの工房の仕事を見せてもらおうと思っています。
彼らの仕事を見ていていちばん感じるのは、どの人も心から楽しそうに仕事していることです。
かつて、「私はここでバイオリンを作って遊んでるんですよ」とおっしゃっていた大マエストロがありましたが、その言葉が誇張でも冗談でもなくすんなりと理解できる気がします。
仕事を楽しめる、という境地にいつ自分がたどり着けるのか、先はまだ長いのかもしれませんが、クレモナの職人たちと触れ合い、ここの空気を感じることで少しでも近づくことができたらいいなと思います。
晴れた日のクレモナは青空の色がとても深くてきれいです。