チェロフェスティバル・in マンチェスター
2007年、この頃のブリティッシュポンド、£対¥ 日本円の為替レートは、1£=約¥270~¥280くらいしました。 ヒースロー空港からプロペラ機に乗り換えて、マンチェスター空港へ移動。 マンチェスター空港からバスでRNCM(ロイヤル ノーザン カレッジ オブ ミュージック)へ。 そこから歩いて30分ほどの所にあるホテルに宿泊しました。 運よく連日晴れていたので、歩いて開場へ通っていました。
この時の旅の目的は、チェロフェスティバルに付属して開催されるチェロとチェロ弓だけのコンペティションに出品するためでした。 日本からのエントリーは恐らく私以外、他の方は誰もいなかったと思います。
5 MAY、会場へ向かう道の信号待ちで、偶然チェリストの堤 剛さんと出会い、ご挨拶だけお話を致しました。
後から知ったことでしたが、プログラムの中に、Quintet in C major G 324・Micheianjero Quartet, Tsuyoshi Tsutsumi と載っていましたので、その演奏の日だったのですね。
チェロフェスティバルの期間は、5月2日(Wed)~6日(Sun)まで、マンチェスターは連日好天に恵まれて、雨の降らない滞在日を過ごすことができました。
このチェロフェスティバルはその名の通り、チェリストのためのフェスティバル。 期間中のマスターコースや演奏もチェロのプログラムが中心。 しかし残念なことに、このチェロフェスティバルは、この2007年が最後の開催でした。 このチェロフェスティバルのホストは、チャールズ ベア氏 です。 第1回目の開催の時に集まったチェロは、わずか3本だけだったとお話でした。
開場のロビーではミッシャ マイスキー氏ともお会いできて、私がチェロ弓のコンペティションに出品する為に日本から来ました。とご挨拶すると「Oh interested interesting!」「May I play your cello bow?」とお話くださいましたが、その時には既にジャッジングルームに置かれていましたので、弾いて頂くことは出来ませんでした。(残念) マイスキーさん、日本は大好きだともお話でした。
この時のコンペティションに出品した私のチェロ弓は、今(8月15日現在)製作中の弓と同じ様に、弓のカーブを削り出しで作った8角形の弓でした。
このコンペティションに出品された弓の全本数は分かりませんでしたが、ファイナルでステージに並べられた弓の中には、残念ながら私の弓はありませんでした。
出品された楽器(チェロ)の本数は158本。 それだけのチェロが1部屋に並べられる光景は圧巻でしたでしょうね! その中からファイナルへと選ばれるのは8本。 それらを3人のチェリストが代わる代わる弾きながら、1位、2位、3位と決められていました。
そのチェロフェスティバルで面白かったことは、日本での弦楽器フェアに来ていた他国の製作者と会ってお話をしていた時のことでした。 彼らが話すことでは、「何故、日本の弦楽器フェアに出展している日本のメーカーたちは、あなたの様に他の国でのコンペティションに来ないのか?」っと云うことでした。 彼とはアメリカでのVSAの会場でも会いましたし、イタリアのイベントの時にもお会いしていましたので、話がし易かったのだと思います。 しかし2010年頃は、製作留学で海外に滞在している日本人も多くなっていますので、海外のコンペティションに出品されている日本人メーカーも多くいらっしゃいますね。
それに関してのもう一つ興味深いことでは、日本の楽器店に並んでいる楽器と、外国の楽器店に並んでいる楽器には、大きく異なる点にも気が付けることでした。
そこにある違いとは?!
それは、角も立ちそうなお話にもなり兼ねませんので、ここでは控えさせて頂きます。(笑)
敢えてひとつ、音や調整のセッティングの施し方にも、好みの違いがあると言う点もあります。
さて、私たちが2024年に経験している為替レートと海外での価格高騰を背景に考えてみれば、外国で楽器を買った方が安く買える! っという話は、もう通用しなくなっていると言うことです。 実際に皆さんが欲しいと思う楽器や弓の価格を調べて、円換算してみてください。 きっと驚くことと思います。 それに比べれば、日本国内で製作されている楽器メーカーの方々の作品で、感触や音の好みに合う楽器に巡り合えた場合には、価格バランスで比べたコストパフォーマンスは、決して悪いものではないと言えるでしょう。
その様な観点からも、関西弦楽器製作者協会の展示会に出展される各製作者の楽器を試奏して、お試しいただける機会を楽しんでいただければと思っております。
私も出展致します。会場でお会いできましたら、どうぞ宜しくお願い致します。
アトリエハーモニー 代表・河辺恵一
P.S このマンチェスター滞在の後はスコットランドへ行きました。それもまた良き思い出です。