クレモナでの学び
初めまして、イタリアのクレモナでヴァイオリン職人として活動しています根本和音と申します。
2020年より関西弦楽器協会へ参加させていただき、今回がコラムへ初めて書かせていただきます。
2021年1月現在のクレモナはコロナウイルスの影響により、感染者増加を防ぐためにレッドゾーン、オレンジゾーンになったりと日々の生活にも少々不自由がある状態です。
それに伴い、自分が卒業しましたクレモナヴァイオリン製作学校もほぼオンライン授業化しているそうです。
自分の年齢に近い学生さんがいるため普段から親しくしているのですが、やはり製作の授業すらオンライン化されているという話を耳にしました。
そんな中楽器を自宅で製作し、ニスを始めたいにも関わらずマエストロ方にも気軽に聞きに行くことができずに悩んでいると相談を受け、未熟ながらも少しアドバイスができればと一瞬のイエローゾーンになったタイミングで数人の学生さん達と一緒にアルコールニスを製作しました。
アルコールニスは天然の樹脂を純度の高いアルコールへ溶かして作るニスでニスづくり自体は比較的に簡単なのですが、それなりの知識が必要とされます。
ニスのレシピ自体も自分が使っていたアルコールニスのレシピを自分なりに使いやすいように改変したもので一つのアルコールニスの種類として一緒に作りました。
いざニスを作り始めると、製作家を目指す学生さん達の学びたい意欲がとても高くて驚きました。
あまりたくさんの量のニスを一度に作ることは機材の関係上出来なかったので、数回にわけて作り、ニスを煮ている間に天然樹脂の特徴や使い方、主な効果などの勉強会をしました。
自分自身本当は樹脂のことをすべて覚えているか少し不安ではあったので資料を使いながら確認しつつ一つ一つの樹脂に関して説明していく中で、学生さんの中から自分の考えもつかなかった疑問が出てきたりし、改めて自分にとっても勉強をする良い機会となりました。
ここ1年でロックダウンという状態を海外で経験し、そういった状態の中でも今できることを、学べること、できることを探して頑張っている後輩たちを見て自分もより頑張らなければという思いに駆られました。
まだまだ世界の情勢はどうなっていくのか想像もつかないですが、日々成長していけるように製作活動をしていけたらと思います。